『マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法 』を読んで

ちきりんさんの新刊、
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
をやっとのことで読み終えました。
僕は本を読むとき、だいたい1〜2日で一冊読むのですがこの本は一週間くらいかかってしまいました。長くかかったのはサボっていたわけでもなく、内容があまりにも濃く、丁寧に読んでいたからであります。

ちきりんさんの著書は全て紙の本、または電子書籍で購入し、読んでいますが間違いなく最高傑作でしょう。

いや今までの本ももちろん素晴らしいのですが、この著書までは世の中でよく知られている論理思考や旅のこと、仕事についての考え方をちきりんさん独自の視点で述べたものがほとんどでした。

しかし今回は世の中においてほとんど言語化されていない『マーケット感覚』について。ちきりんさんの持ち味であるわかりやすい文章で書かれています。世の中に全く新しい視点を提供するというちきりんさんの思いが『これでもかっ!』てくらい感じられます。

この本を読み、マーケット感覚の存在に気づくと僕の身の回りで不思議に思ってモヤモヤしていたことがすっと腹におちました。例をあげましょう。

(本の内容に触れるとネタバレになるので身近な話を例にします。)

知り合いが資格の勉強をしているという話を聞いたときのこと。難関資格でその資格を取れば食いっぱぐれないと話していたのが印象的でした。でも資格を取れば食いっぱぐれないというのが僕にはどうも本当の事とは思えずモヤモヤ。

その後、その人はめでたく資格を取得するのですが食いっぱぐれないどころか取得する前とほとんど変わらない生活を送っています。(今も進行形)

資格の勉強をすること自体は素晴らしいことです。しかし、それだけで食べていけるなんてことはないのです。
どうやったら食べていけるかは『マーケット感覚』にかかっているのです。
世の中で需要があるのかを敏感に感じ取りながらアクションを起こしていく。
その資格に需要があるのかなんて少し調べればすぐにわかります。今の弁護士や歯科医師の悲惨な状況を見ると難関資格だけで食べていくなんてことは不可能でしょう。

もう一つ。仕事の現場ではよく『論理的に考えろ』という言葉を耳にします。
論理思考ブームで知識が体系化され、ビジネスマンの必須スキルのようになってきたためでしょうか。
この言葉にいつも僕は違和感を覚えていました。
たしかに物事を突き詰めて考えるときなどには論理思考は強力な武器になるでしょう。
でも論理思考"だけ"では考えるまでで終わってしまいます。
考えたものが活きるかどうかを左右するのが『マーケット感覚』です。

仕事を頼まれたときに誰がどのようなものを欲しているのか(需要)を意識して思考に落としていく。
相手の見えない仕事ほど意味のないものはありません。
論理思考の前に『マーケット感覚』によって考えるべきものを選別することが重要でしょう。

会社員で営業でもなく社内の人と仕事をするだけだから『マーケット感覚』なんて必要ないって思っているアナタ。
決してそんなことはありません。
だってアナタはその会社における出世市場に置かれているのですから。(出世を目指さない人もいますが・・・)
出世するのは仕事が抜群にできるからだけでは決してなく、
出世市場において出世を左右する、上司の需要に応えることができるかです。
『仕事さえできればいつか認めてくれる』なんて幻想です。
『いいものを作れば買ってくれる』って考えている日本の家電メーカーの迷走と同じですよ。

長々と書きましたが本を読んで長年モヤモヤしていたことに対して本当にすっきりしました。
これからは堂々とこの本読んだ方がいいとアドバイスできそうです。笑

最後に、この本自体がちきりんさんの『マーケット感覚』による産物だと読み終えて気づきました。笑(だって世の中で形になっていなくて、でもものすごく需要がありそうな考え方の本ですからね。これから『マーケット感覚』ブーム来るかもしれませんね。)